他社参入障壁には、様々な要素がある。簡単に思いつくのは特許だったり 既存の販路のような人的ネットワークだったり、既に確立されたブランドイメージだったり。ただ、もう少し範囲を狭めてIT業界に目を向けると、一般的にパッケージソフトウエア業界はハードウエア業界よりも参入障壁が低いといえるだろう。なぜならソフトウエア開発は、5万円のPCと5万円のMicrosoft Studioがあれば誰でも開業できるのに対し、ハードウエアはそれなりの設備投資が必要だからだ。また、品質管理についても、ソフトウエアに対してハードウエアはロットごとのバラツキといった不確定要素が多く、開発終了後も製品の安定した品質確保のためにコストが掛かる。また、在庫・ロジスティックスなどを考え始めると、ソフトウエアビジネスと比較した場合のハードウエアビジネスの難しさが容易に想像できるだろう。
なぜ、こんなことを書いているかというと、自分はソフトウエア会社の中で稀なハードウエア関連部署に所属しているからだ。ソフトウエアビジネスに慣れきった社内の人間は、ハードウエアの障害が起きるたびに「ハードウエアなど止めてしまえ」と簡単に言うが、そんなに単純なものではないと思う。なぜなら、現在ハードウエアをやっているがゆえに競合他社の数は片手で足りる程度なのが、それがないとそれは一気に50以上になるからだ。
結論としては、他社参入障壁が比較的低いパッケージソフトウエア業界は、「熾烈な競争」を勝ち抜く必要があるといえるだろう。その最たる例が、最近ソフトウエア業界で言われている、「タダでも自社ソフトウエアを使ってもらうのが難しい」である。Yahoo、Google等が提供する無料サービスで、どれだけのソフトウエア会社が淘汰されただろう。特にGoogle Mapはものすごいインパクトだったに違いない。最初にあれを使ったときの衝撃は忘れられない。「なぜこれがタダなんだ」と。
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