「飽和状態がもたらすもの」を前回書いた時に、「人間の脳が処理するべき情報や仕事に追いつかなかったら…」と書いた。再度この件について考えてみると、ITとは本来人間がやっていた単純作業を代行するという意味では、その飽和状態を回避するものとして存在している、という捉え方ができるだろう。例えば、昔はそろばんの伝票算のプロが手作業で行っていた会計処理は、会計ソフトウエアで一瞬だし、その他在庫・商品管理といった比較的単純なものから、WEBショッピングに至っては販売まで行ってくれる。こういった「ITによる代行作業」は広がりを見せており、Amazonをはじめとするメジャーなサイトでは、ユーザの履歴データに基づいて「おすすめ商品」まで表示してくれるようになっている。まるでお得意様へ商品を勧める、古き良き商店街の地域密着型の店のようだ。
しかし、これにも限界があるというのが私の個人的な意見だ。それを一言で言うと、「経験に基づいた直感、勘、感性に関わる事象をITで代行させるのは不可能」になるだろう。その際たる例が「無限に稼いでくれる自動株トレーディングソフトウエア」や「必ず売れる商品デザイン、絵画、音楽を自動で作成するソフトウエア」が存在しない、という事実だ。
とはいえ、これまで人間が行ってきたことの「ITによる代行作業」の領域は、これからも広がっていくだろう。
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